ミカンはシミやシワなどの肌トラブルを解消する“美”食材

薬膳では、ミカンは「気」の巡りをよくし免疫力を高める食べ物として利用され、五臓六腑の「肺」と「胃」にいいと言われています。
肺には全身の「気」の巡りを管理し水分代謝を調整する重要な働きがあり、胃には食べ物を消化するための役割があります。
そして、皮膚や大腸と関係の深い臓器が肺で、気の巡りが悪いと便秘になりやすく、代謝が落ちて免疫力も低下してしまいます。そして、体内の水分調整がうまくいかないと肌は乾燥し、シミ・シワ・吹き出物といった肌トラブルを引き起こす原因にもなってしまいます。
免疫力は20歳をピークに年々減少し、40~50歳の間で50%近くまで低下してしまうと言われていますので、40歳を過ぎたらとくに意識して、免疫力をアップする食べ物を摂るようにしましょう。
ミカン以外にも、山芋やニラ、ブロッコリーにニンジン、クコの実などといった食べ物に免疫力を高める働きがありますが、ミカンは手軽に食べられるという点でもおすすめです。
ミカンの皮を干した「陳皮」にはコラーゲンの合成促進効果が

ミカンは11月~3月の寒い時期が旬になります。薬膳では、冬が旬の食べ物は基本的に“体を温める”性質があるとしていますが、ミカンは「涼」に属し、やや体を冷やす作用があります。
ただし、完熟したミカンの皮を干して乾燥させた「陳皮(ちんぴ)」は「温」に属し、体を温める働きをします。陳皮は生薬のひとつでもあり、毛細血管を丈夫にし血流を改善します。また、甘酸っぱく爽やかなリモネンという香り成分にはリラックス効果があります。
実と皮はどちらも大人の美肌づくりに欠かせない役割をしてくれますが、とくに実は強い抗酸化力で肌老化や肌トラブルを予防したり、美肌づくりに欠かせないコラーゲンの合成に必要な「ビタミンC」、メラニン色素の沈着を防ぐ「β―クリプトキサンチン」といった成分が豊富に含まれています。
一方、皮には毛細血管を広げることで血流をよくし、美肌効果としてコラーゲンの合成を促したり、紫外線によるコラーゲンの分解を抑えたりする成分が豊富です。
有効成分豊富な白いスジはとらずに袋ごと食べよう!

ところで、ミカンの袋についている白いスジ。嫌いな方も多いのではないでしょうか?
このスジには「ペクチン」と呼ばれる食物繊維が豊富で、腸内の水分調整をしてくれます。つまり、便秘気味の人には便を柔らかく、下痢気味の人には便を硬くしてくれるというわけです。
他にも、スジや袋には「ヘスペリジン」という成分も豊富で、血圧の上昇を抑え、中性脂肪の分解をし、毛細血管を強くする効果もあります。できればミカンはスジをとらず袋ごと食べるようにしましょう!
ちなみに、ミカンに豊富に含まれるビタミンCは、美白成分としても有名です。成人女性に必要な摂取量の目安は1日3個ですので、今日からあなたも食後のデザートにミカンを加えてみてくださいね。
薬膳アドバイザー 川端真弓
薬膳アドバイザー・風土ライター/食にまつわるコラムや薬膳レシピを提供しつつ、コーチとして心の栄養を注ぐコーチング活動も展開中。