作家・桂望実さんインタビュー とにかく忙しい40代、ジタバタしているけど余裕がある50代 <後半>【#FocusOn】

作家・桂望実さんインタビュー とにかく忙しい40代、ジタバタしているけど余裕がある50代 <後半>【#FocusOn】

新刊『オーディションから逃げられない』が発売中の桂望実さん。ドラマ・映画化された『県庁の星』や『嫌な女』の原作者でありベストセラー作家です。そんな桂さんが新たに書いた小説の主人公は40代の女性。夫と娘を持ちパン屋を経営するがむしゃらにひたむきに生きる主人公に自分を重ねるアラフォー女性は多いでしょう。桂さんに小説についてお話を伺たった後半です。


『県庁の星』などのベストセラーを多数持つ作家 桂望実さん。新刊の『オーディションから逃げられない』は自分のことを「ついてない女」だと思っている40代女性 展子が主人公です。

Bramanoli読者と同世代の展子の中学生からの人生を描く物語は、日々私たちが感じている感情が鏤められています。インタビュー後半は桂望実さんにご自身のキャリアや40代女性が感じる生きづらさの理由はなんなのか、50代になってどう感じていらっしゃるかなど盛りだくさんでお話を伺いました。

『県庁の星』のヒットで叩かれる経験もした40代

――『県庁の星』が出版されて映画化した時、桂さんは41歳ですよね。

そうだったかな…えーと(笑)そうですね。

――会社員をした後、フリーライターから作家になって40代で初めてベストセラーが出て人生は変わりましたか?

『県庁の星』が出るまではネットで「私の本の事書いてくれている人がいないかな」って呑気に検索してたんですが、『県庁の星』が急に売れたことで色々と批判的なことが書かれるようになりました。でも、そういう人が書いていることを読むと「あ、この人、本読んでないな」って分かるんです。それからは自分の事を検索することはやめました。

――有名になるとやっぱりそういうことが起きるんですね…40代はいかがでしたか?

とにかくもうあっという間! すぐに過ぎてしまいました。忙しくて常に追われている感覚がありました。仕事だけではなくて、人間関係もそうで、「○○ちゃんにいつまでにあれをして、その後、○○さんにいつまでにこれをして…」みたいな。とにかく忙しかったなあ…。50代に入ってようやく落ち着いた感じです。

――今が良いですか?

基本的にいつでも“今が一番いい”って思っています(笑)

――その考え方、素敵ですね!

時間の棚卸をすれば“消せない時間”=“自分にとって大切なもの”が見えてくる

――生きづらさを感じている40代女性が多いように思うのですが、それはなぜだと思いますか?

昔の人は、自分の友だちや親やおばあちゃんなど、身近な人の話しか聞けなかったし知らなかったけど、今はインターネットのおかげで世界中からたくさん情報が入ってくるじゃないですか。成功してキラキラ輝いている女性たちの姿を見聞きすると「私はこれでいいの?」とか「もっとこうしなきゃ!」と焦ってしまうんだと思うんです。

情報が無かったらシンプルに「私はこれでいいんだ」って思えていたことが思えなくなってしまっている。一つのロールモデルしかなかったところに、たくさんのロールモデルが出てきたら迷っちゃいますよね。それから40代って「もう一回やり直せるんじゃないか」って思える年齢でもあると思うんです。

――そう思います。キャリアチェンジなど、今までとは違った新しいことに挑戦しようとする人も多いですよね。その一方で自信がなくて、自分の人生を決めきれなかったりして迷っている人も多いと思います。

正当に評価されて褒められてこなかったのかもしれませんね。教育はとても大きいと思います。40代の女性たちが子どもの頃はちょうど教育ブームで、頑張って勉強していい大学に行くことが良しとされ、人と違うことは良しとされなかった。個人としての幸せをどう見つけるか教えてもらっていないのではないでしょうか。

だから、何か人と違うことが起こったら怖いのだろうし、チャンスが来ても「私なんか」って思ってしまう。でもチャンスがあったらつかみに行けばいいし、やるべきだと思います。展子はそうやって生きていますよね。

――はい、確かに。でもなかなかそれができない…。

まずは自分にとって本当に大切なものは何なのか知ることが大切だと思います。「友達が○○してるから」とか「キラキラしている人がこうだから」ではなくて、“自分が何を大切にしているのか知る”こと。これって本当に忘れがちです。でもわかれば「次はこうしよう!」って次の何かが見えてきます。

――自分が何を大切にしているのか知るにはどうしたらいいのでしょうか?

時間の棚卸をしたらいいと思いますよ。私、「どうしてこんなに原稿が遅れているんだろう」って思ったら時間の棚卸をしているんです。

――どういうことでしょうか?

1日は24時間ですよね。その24時間をどう使っているのか見直してみるんです。原稿が遅れているということは執筆に費やす時間を増やさなければいけないわけですが、何かをしている時間を削らなければ執筆の時間を増やせないわけです。すると「睡眠を削る? でもそれは嫌だから何の時間を削ろうかな?」と考える。本を読む時間なのか、美術館に行く時間なのか、友だちと会う時間なのか…そうしていると、「今の自分にこの時間は少しで良いな」とか「必要ないな」など分かってきす。“消せない時間”が“今、自分が大切にしたい時間”ということです。

――なるほど! わかりやすいですね。消せない時間…素敵です。

あんまりガチガチに考えないで、やってみて上手くいかなかったら、またやり直して変更すればいいんです。私もそうしてます。

50代もジタバタしてるけど40代より余裕がある

――50代の今、どんな感じですか?

あんまり変わらないかも(笑) まだみんなジタバタしてますよ。結婚相談所に入って婚活したり…50代の婚活パーティってね、面白いの。和菓子作ったりゴルフしたりするんですって。

――へえ! 楽しそうです(笑)

あとはね、友だちとこれでもかってほど食事会をしてますね。40代は全然できなかったのに。

――それはなぜですか?

仕事もそうだけど、子育ても落ち着いて自分の時間がみんなできてきたんじゃないでしょうか。本当に食事会の出席率がいい(笑) あとまだまだ体が動くから、一人ではとバスツアーに行ったり、おひとり様旅行を楽しんだりしている友だちもいますね。今のはとバスってすごいのよね、おひとり様の人が多いから二席を一人で使うようになってたりするんですって。豪華ですよね。隣に知らない人が座ると気を使っちゃいますもんね。

――なんだか余裕を感じますね。50代がとっても楽しみになってきました。

そう? 良かったです(笑) なんでもいいけど、楽しみ目標をもっていると良いと思いますよ。本当に些細なことでも楽しみにできることがあるとないとでは全然違います。

――そう思います。最後に、Bramanoli読者に『オーディションから逃げられない』の読みどころをお願いします。

長編小説ですがわりとスルスル読めると思います。特別な人は誰も出てきませんが、自分の分身のように感じられる人物が必ずいると思います。一人の人生を味わう体験をぜひして欲しいと思います。

――『オーディションから逃げられない』の主人公は40代の女性。まさにBramanoli読者です。主人公 展子に共感するうちに「よし!明日も頑張ろう!」と自分にエールを送っているかもしれません。読んで元気になって一人じゃないと思える、そんなお守りみたいな一冊『オーディションから逃げられない』(幻冬舎)。ぜひ読んでみてくださいね。



作家 桂望実さん
1965年東京都生まれ。大妻女子大学卒業。会社員、フリーライターを経て、2003年、『死日記』でエクスナレッジ社「作家への道!」優秀賞を受賞しデビュー。映像化された『県庁の星』『恋愛検定』『嫌な女』のほか、『ボーイズ・ビー』『ハタラクオトメ』『頼むから、ほっといてくれ』『総選挙ホテル』『諦めない女』『僕は金になる』など著者多数。

著者公式HP 

オーディションから逃げられない

¥ 1,620

渡辺展子はいつも「ついてない」と思っていた。中学でできた親友は同じ苗字なのに学校一の美女・久美。同じ「渡辺」でも、注目されない方の「渡辺」になった。絵が好きで美術部に入るが、そこでは「一風変わった絵」を描くだけの同級生がなぜか注目を集め評価されてしまう。就職活動をしてみれば、仲良し四人組の中で自分だけ内定が取れない。幸せな結婚生活を夢見ていたのに、旦那の会社が倒産する…。“選ばれなかった”女性の、それでも幸せな一生を描く。



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