【#FocusOn】子育てはホームステイのホストマザー気分で!『女がめざめる暮らし方』著者、大葉ナナコさんインタビュー<最終回>

【#FocusOn】子育てはホームステイのホストマザー気分で!『女がめざめる暮らし方』著者、大葉ナナコさんインタビュー<最終回>

ご自身の妊娠・出産の経験から「誕生学」を確立、普及させてきた大葉ナナコさん。5人のお子さんを育てた経験と、多くの女性を支えてきた立場から、親の役割、そして子育てしながら自己実現をするための秘訣を教えてもらいました。著書である『女がめざめる暮らし方』(サンマーク出版)を基にしたインタビュー、最終回です。


“正しいこと”と“助けてと言っていい”ということを教えるのが親の役目

私は本質的な女性性というものがあるとしたら、なんでも包み込んで「わかった。よしやろう!」って引き受けることなのかな、と思っています。私は自分はアニキキャラだと思うのですが(笑)なぜか「女性性強いですね」といわれます。縄文型社会だったらどこかでリーダーをしていたかもしれませんね(笑)

――確かにこんなに美しくてエレガントなのに、お話しているとバシバシアニキ感を感じます(笑)しかし、“我慢”をすることとなんでも引き受けて“包み込む”ことってどう違うんでしょうか? 言葉として違うことはわかるのですが、自分の要求を言えずに受け入れて我慢して苦しんでいるアラフォーの女性は多いと思うんです。

そうですね。親とも夫とも摩擦が起きるのが嫌で主張はせずに我慢している方は多いですよね。それも元々は子どもの頃に親と健全な衝突ができなかったことが原因で、今も健全に衝突ができないようになってしまった方が多くいると思います。

子ども時代に撒かれた種が発芽して今の自分に影響を与えているんですよね。両親が仕事をしている場合は親と接する時間が短くなりますが、それでもやはり家庭でコミュニケーションセンスのベースが確立されます。家庭でのコミュニケーションの上に友達とのコミュニケーションがあり、ボーイフレンドとのコミュニケーションがあるんです。私は母とよく衝突をしましたよ! 親と子どもはお互い違う人間なので衝突するのは当たり前なんですよね。「嫌なことは嫌」と言える関係性が、受容し合う関係だと思います。

――たしかにそうですね。ついつい衝突しないようにと考えてしまいますが…健全な衝突の仕方を家庭で教えてもらえなくて、外で初めて衝突したら深い傷を負ってしまいそうですね…。

自分の感情を肯定していいというルールで育つことは重要でしょう。私は、親は壁と風の面が必要だと思います。衝突した時に、親は正しいことを教えなければいけないんです。正しいという漢字は“ここ”で(※手で“-”の仕草をする)“止める”と書きます。「ここまでにしなさい」ということを教えるということです。例えば私なら「高校生なんだから口紅じゃなくて色つきリップまでにしなさい」とか「妊娠するようなことをするのは大学生になってからにしなさい」などと子どもたちに話していました。

そしてなぜそうしなくてはいけないのか、理由までちゃんと伝えます。例えば高校生の息子に「妊娠するようなことをしたいなら大学生からにしなさい」って教える時には「もし高校生で子どもができたとして、中退して子どものために働きますって言っても受け入れてくれる会社は多くはないよ。 それがもしも大学生で誰かとの間に子どもができてしまったとしても、大学を中退して働くとなったら“なかなか気概のあるやつだ”と言って雇ってくれる経営者はたくさんいると思う」と伝えます。

それが私が正しいと思っていることだからです。もちろん、きちんと避妊をしなければいけません。そして避妊法も教えなければいけない。そもそも多くの妊娠は避妊の失敗で起きているという現状を伝えなければいけません。10代の出産と人工妊娠中絶の数はとても多い。10代で年間に約12,000人が出産していますが人工妊娠中絶数は約16,000人です。1日に40~45人が人口妊娠中絶し、30~35人が出産している計算になります。

――思ったよりも10代の人工妊娠中絶数と出産数が多いのにびっくりしました…。

10代の人工妊娠中絶や出産に関しては親に「嫌だ」とか「助けて」と、現状を言えたかどうかの違いも大きいと思います。例えば、避妊に失敗してしまったことをすぐに親に言えたら親はアフターピルの存在を教えて病院で対処できたかもしれない。それが言えず、ひっそりと自分でお金を集めて人工妊娠中絶手術をしたり、内緒で出産してしまったりして苦しむ…。

「助けて」というSOSを出していい「私はどんなことがあってもあなたの味方なんだよ」ということを子どもに伝えず子どもをただ追い詰めてもどちらも幸せではありません。

母親との関係を見つめ直して不健全な依存関係を解消しよう!

――不健全な依存関係が子どもを追い詰めることに繋がってしまうのでしょうか? 親と不健全な依存関係で追い詰められたままの大人たちも多いと思います。そんな人たちはいったいどうしたら良いのでしょうか? 同じ連鎖を自分の子どもとの関係で起こしたくないと思っている人も多いと思います。

自分にとって、親と過ごす子ども時代は、今回の自分の人生の旅の中で自分に必要な旅だったんだ、その経験は必要だったんだ、と受け入れることも大切です。コミュニケーションセンスは、育った家庭環境に因ります。「ごめんなさい」とただ言えば許される環境だったらしょっちゅう謝る人になるし、甘えられない人は大人になっても素直に甘えられない、ゆがんだ甘え方しかできなくなりがちです。

そして子ども時代に未完了だったことについてその蓋を開けて見つめるということも、女性性を開花させるために必要な作業です。改めて振り返って向き合うことは痛いことだし、母親とアラフォーになって向き合うことはすごく辛いと思います。ですが母親と向き合って「私はあなたじゃない」と一線を引く、大人の女性として大切なことです。

――不健全な依存関係を子どもに強いた上で「早く自立しなさい」と言う親も多いと思います。そもそも親が自立していないのに。

そうですね。精神的に子どもに依存している親もとても多いですよね。そしてそういう親の生き方を悪くいう子どももいます。でも親を悪くいうなんてもったいないと思いませんか? 自分の母親がその生き方を選択したということは、その時代を生きぬくために、一番重要であったはず。例えば“姑”に認められるためにそういう生き方を選択したのではないかと思います。

「自分を一番受け入れてもらえる生き方ってなんだろう」と考えたときに、「こうしたい」と思う相手や生き方を選んでいるんです。それは親自身の選択です。なので他の人が一方的に悪くいうのはおかしいですよね。親も苦しかったんです。その時代の女性の生き方に無理やり押し付けられて辛かっただろうと思います。

――その時代の価値観や生き方を押し付けられるという点においては、社会問題になっている介護についても言えることですよね。日本社会では親の介護は子どもがして当たり前。嫁がいたら嫁がして当たり前、という考え方があります。その価値観に苦しんでいる人たちがすごく多いと思います。

今、殺人事件の半数以上は親子の間で起きているんです。家族という鳥かごはリスキーなことも多い。それは家族制度に対しての日本社会の締め付けによるものかもしれないですね。旧来の核家族主義は個としての人間の成長にとてもリスキーな面があると思いますし、“母”という名の呪縛に苦しんでいる人はとても多いと思います。

ですが、不幸なことがない人生なんてありません。ジョン・F.・ディマティーニ博士の本を最近よく読むのですが、ディマティーニ先生はHappyもUnhappyも人生に50%ずつあって、その50%ずつのど真ん中が“愛”だといっています。私たちの人生は何のためにあるのかというと、愛を学ぶためです! 私もHappy 100%のことなんて言いません。自分もHappy100%なんてできません。ですがそれがナチュラルなことなので、Happyだけの人生は求めません。でも愛が100%の人生を目指したいと思います!

子育てしながら自己実現するコツは、ロック(69)の母

――最後に、大葉さんは5人のお子さんを育てながら起業をされていますが、その中でゆるむコツとはなんだったのでしょうか。

子育ては大変なことばかりがクローズアップされすぎていると思います。でも新しい小さな命がやってくるのはすごいアドベンチャーの旅でわくわくすることなんですね。旅行のときに見える風景って、各駅停車の旅で見たい風景じゃないですか? スイスの山間を電車で旅をするときに急行列車に乗っちゃったらつまらないじゃない! 子育ては、各駅停車の車窓からみえる美しい風景と同じです。

私の場合は、仕事のストレスは子育てで解消されていましたし、子育てのストレスは仕事で解消されていたので、すごくバランスがとれていたと思います。バランスのとり方でオススメなのは、子どもに定番のペースをつくってあげることです。

例えば、木曜日は残業するから、木曜日の夜はベビーシッターさんの日で、水曜日の夜に一緒にパスタソースをつくろうね、とか決めてしまう。子どもは、ママが毎日違うライフスタイルを提案してくるより、同じペースの方が安心するんです。私の場合は、ロック(69)の母というペースにしていました。朝6時~9時の間は子どもたちと過ごして、9時から仕事をして、夕方6時~9時に子どもたちと過ごしたり家事をしていました。

夜、小さい頃は必ず8:30にはお風呂に入って絵本を読んで寝かしつけていました。絵本は毎日3冊は読んでたかなあ。600冊くらい絵本が家にありました。女優みたいに演技をしながら絵本を読んで声がしゃがれちゃったりしてね(笑)寝かしつけている間に疲れて自分も寝ちゃったことも何度もあります。そんな時は2時、3時に起きてそれから仕事していました。9時に寝落ちせずに仕事ができた日は朝5時に起きて6時までの1時間は自分の時間に当てる。そして6時になったら朝ご飯やお弁当を作ったりする。今もまだ子育て中なので、もうかれこれ29年間、お弁当を作り続けています。でも子育て真っ最中の時期でも、年に4冊本を出していましたよ!

――年に本を4冊! すごいですね。5人の子育てしながらできるんですね! 素晴らしいです。

ネガティブな子育ての情報をまじめに読んでいると、ポジティブなビジョンが浮かびにくいですよね。なので「子育てしてみたいわ」という方は、ポジティブに子育てしている人の意見だけを参考にした方がいいと思います。

ちょっと話が脱線してしまいましたが…(笑)ゆるむコツですよね! 子育て中の心のマインドセットの考えかたとして、ホームステイに20年間来る子のホストマザーになるんだと思ってみてはどうでしょうか。子どもという存在は自分の所有物ではありません。社会の宝物です。未来からの留学生です。自立したひとりの幸せな大人に成長させて世の中に返す。社会の後輩に他ならないんです。

私は子どもたちに、どんな仕事をして喜ぶ人をたくさんつくりたいか? どんな特技を持って自分に自信を持ちたいか? どんな趣味で癒されたいか? ということを考えて、趣味と特技と得意な分野で、世の中の人をたくさん喜ばせなさいって伝えて、育てています。

子どもたちには一人ひとり素晴らしい個性があります。それを親が見つけてヒントを与え、子どもたち自身に磨かせる。親はあくまでもホストマザー! しっかり育てて社会にかえし、社会の後輩として親子でよりよい関係を築いていけるといいですよね。

――親も子も自立していることが大切。すべての女性が子育てしながら自己実現できる社会になってほしいですね。大葉さん、ありがとうございました!

文/北 奈央子、撮影/鈴木 志江菜

大葉ナナコ/おおばななこ
公益社団法人 誕生学協会代表。株式会社バースセンス研究所代表。筑波大学大学院修了・保健学修士

1997年より妊娠前・妊娠中・産後の各世代への生命と性の授業を開発。研修やスクール、個人クラスを展開。官僚や政治家、経営者、芸能界にもクライアント多数。
次世代向けには誕生学プログラムを開発し、認定講師らと小中学校へ年間約800校に授業を届け、少年院でも採用されている。
日本初、民間で行政の両親学級開発など、誕生と出産教育の専門家として公益事業に従事。
近年はストレスマネジメントやオキシトシン研究者として「家族タッチセラピー」を開発・普及中。
2010年公開のドキュメンタリー映画「うまれる」製作メンバー。
三越伊勢丹マタニティベビーコンシェルジュ研修統括歴12年。
環境大臣公認アンバサダーでもあり「つなげよう、支えよう森里川海」プロジェクトや、環境省グッドライフアワード審査委員も7年目。「人のいのち、地球のいのち」学校プロジェクトほか、マザーアースへの想いをチームで!とSDGs事業を官民多連携して活動を展開中。著書共訳書26冊

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