【#FocusOn】女性が本当に“幸せ”になるためには 『女がめざめる暮らし方』著者 大葉ナナコさんインタビュー<第一回>

【#FocusOn】女性が本当に“幸せ”になるためには 『女がめざめる暮らし方』著者 大葉ナナコさんインタビュー<第一回>

女って生きづらいなぁ…男に生まれたら楽だったのかなぁ。と、女性であることをうとんでいる方、意外と多いのではないでしょうか? 少し視点を変えて自分の女性性を見つめて受け入れる“女がめざめる暮らし方”について考えてみませんか。公益社団法人誕生学協会代表理事、株式会社バースセンス研究所 代表取締役、バースコーディネーターの大葉ナナコさん著『女がめざめる暮らし方』(サンマーク出版)を基に、ご本人にインタビューしました。その第一回目です。


自分のタイミングで自分らしい花を咲かせましょう

――『女がめざめる暮らし方』読ませていただきました。まずはこの本を執筆された経緯や想いを教えてください。

ありがとうございます。これまで妊娠前、妊娠中、産後の女性のサポートや、子どもたちにいのちの授業を届けてきました。その中でひとりひとりの女性が描いている自分の理想像や目標像が、自分ではなく相手に合わせたもので、自分以外のニーズに応えるように生きているなと感じることが多かったんです。他律的というのでしょうか…。ファッション誌に出てくるモデルさんや女優さんといった、自分ではない他人を目標や理想にしているんですよね。

せっかく女性に生まれてきたのですから、本来持っている自分の女性性を見つめて、ありのままに生きて欲しい! と私は思っています。ところが、ありのままに生きるのはダメ、外側から求められるものにならなくてはいけない、と思っている女性が大勢います。“どう在るか”なのに“何になるか”ばかり気にしていらっしゃるんです。これは本当にもったいない!

――確かにメディアが与える影響は大きいですね。

自分のペースで自分らしく人生を歩んでいっていいのに、外側のペースや尺度に合わせて花を咲かせることに一生懸命になり、その裏側で実は苦しんでいる。女性はみんな柔らかい蕾です。むりやり咲かされたら柔らかい花びらがちぎれてしまいます。本人が「よし咲くぞ!」と決めたときに、花びらを外側から1枚1枚ゆっくりと倒しながら自然に咲けばいいのです。「私は私らしく咲く」「よし今だ、咲くときだ!」と決めてね。

―すごく素敵な考え方ですね。

私は男女雇用機会均等法の2期生で、「25歳すぎたら永久就職先(結婚相手)はない」といわれる時代に成人を迎えました。今よりもっと外側から人生が決められていたんですね。まだ蕾が固くて咲く時期じゃなかったり、これから咲こうと準備をすすめているのに、外側の尺度に合わせて咲かされてしまう。このことに女性たちは今でも苦しんでいると思います。そういう女性たちに、「自分のペースで自分らしく咲いていいんだよ」と、伝えたくて本を執筆しました。

賢い女性ほど、男性社会に合わせて無理をしている

――女性たちはなぜ自分のペースで自分らしく生きられないんでしょうか?

現代のグローバリゼーションの社会は、ゲームのように“最短時間で最大効果を得る”というルールの下にまわっています。この“最短時間で最大効果を求める社会”は、男性性中心に動く社会を前提に作られた構造だと思うのですね。昨今は「働き方改革」や「ダイバーシティ戦略」などで軽減されてきました。男女にはどちらにも男性性と女性性があります。ですが生理的な身体的性差は確実にあり、女性は年間で3ヶ月間も月経期間で、非月経期間とは体力モードが違います。

生理的に、生得的に、身体を休ませ慈しむサイクルがある。精神的に尽力したくても、最短時間で最大効果に動き辛い人もいる。だからといって女性が働けないわけではない。
性差を鑑みる社会を、つまり、地球人類半数をさらに理解する社会を、という意味です。女性が働きやすい社会なら、どんな人にも働きやすいということにもなります。

深夜をいとわぬ長時間労働や心身を壊した女性からの相談が後をたちません。

男性は月経がないので、それがわからなくて当然なのですが…。なので、男性がつくった最短時間が基準の社会で、社会的性差のある女性が自分のペースで自分らしく生きる、ということはそもそも難しくて当然なんだと思います。

ちょっと話は変わりますが、私は環境大臣公認アンバサダーとしての活動もあるのですが、現代はSociety(ソサエティ)5.0という、テクノロジーとダイバーシティが両立する社会になりつつあると感じています。競争優位性でひとり勝ちを目指す個々のビジネスは、そろそろ終焉を迎え、今後はさらに共創ビジネスの時代と考えています。もっと循環型の全体善としたものになろうとしています。

――それは素晴らしいですね。全体善というと多様な価値観を受け入れてお互いを認め合うダイバーシティ社会になっていくということでしょうか? しかし日本はなかなかダイバーシティが進まない印象があります。

特に日本社会ではコミュニケーションが男性性優位の効率主義のデザイン“非言語メッセージを言語化しないで省略する”からかもしれません。人間は93%が非言語でコミュニケーションしていると言われていますが、非言語コミュニケーションは共有されづらいんです。
女性は非言語コミュニケーションが得意です。女性同士だと言語化しなくても、察して行動することができたりします。ですが、男性とだと夫であってもそうはいかない。

――ものすごく分かります…。

ですよね(笑)私は32年間育児の経験があり、男の子2人、女の子3人の子育てをしてきました。その中で感じることは、思考機能、感受性のセンサーの使い方などにおもしろいほど性差があるということです。男女が性差を理解し、お互いの認知機能の違いを受け入れることでSociety5.0が実現すると思います。しかし、人口の半分いる女性と、男性との違いがみえていない発信者が多いように思うんです。

――“情報を発信する力をもっている男性発信者”に違いが見えていない人が多い、ということでしょうか?

いいえ。発信する側には当然、女性もいらっしゃるのですが、男性性の強い女装男子のようなタイプが多いなあと思うんです。例えば、「合コン必勝ワンピース」など女性誌で特集されたりしますが、あれは戦国武将的というか(笑)、獲物を捕獲する感じで…そもそも“勝ち”“負け”にこだわり、“必勝”と書いている時点で男性性を表しています。本来、“装い”というものは「あなたのいるその場の華やぎに貢献する花束の一輪になりたい」というものだと思うんです。これは合コン“必勝”ワンピースという考え方とはまったく逆ですよね。

――勝ち負けにこだわり“必勝”を目指す…これでは全然「ゆるまない」ですね。

そうです。むしろ「締まって」しまいますね(笑)

――ゆるめる女性性を受け入れられていない女性が多いということですね。

女性を責める気持ちはまったくなくて、社会構造がそうなってしまっているから仕方がないんですよね。最短時間で最大効果を求める社会に適応しなければ人生の選択肢が持てない構造になってしまっている。

“社会構造に適応した人が有利”になる構造にできているんです。賢い女性たちはそれを知っていて優位に立とうとして努力する。男性性がつくってきた社会モデルでは、最短時間で最大効果を求めたり、損得勘定がすべてだったり、相手を蹴落としてでも自分が上にいくことが良い、というような構造になっています。そんな社会に適応しようとしたら、どうしてもそれをすべて良いものとして受け入れざるを得ませんよね。

――なるほど…そういう社会しか知らないからその社会のなかでうまく立ち回ろうと女性たちは疲弊していく…。

ええ。そういう側面は多いにあると思います。人は見たことがないもの、食べたことがないものの想像はできません。女性たち自身が幸せに生きられる社会がどんなものなのか、というイメージはそういう社会を見たことがなければ描くことができません。私たち日本人女性の幸せな女性のイメージはこれまで見聞きした過去の記憶によってできているんです。つまり、母親や祖母、周囲の大人の女性たちがモデルになっています。彼女たちが幸せそうにしている時はどんな時か? 思い描いてみてください。今の自分が幸せだと感じることと幸せだと信じてしたことに差を感じたりすることがあれば、そのモデルたちの姿こそが女性の幸せだと信じていたからかもしれません。

――今の女性がもつ幸せな女性のイメージって例えば何でしょうか?

多くはメディアが“幸せ”と定義してきた女性の姿なのかなと思います。私の世代では25歳を過ぎたらクリスマスケーキ(※)といわれていたので、25歳までに結婚をしなければいけない、と信じていました。そして3高と呼ばれる高身長、高学歴、高収入な男性と結婚するのが良い! と本気で思わされていた時代。ダイバーシティの真逆です。そうすると3高の男性が多くいるだろう大企業に腰かけで働くのが良しとなります。永久就職なんて言葉もあり、3高の男性を捕まえた人を勝ち組などと言っていました。なんだか恐ろしいですね(笑)

※12月25日を過ぎたらクリスマスケーキが用済みになってしまうように、25歳を過ぎたら結婚相手が見つからない、という意味。

“弥生型”ではなく“縄文型”意識を持つ

私は“勝ち組”“負け組み”と言う考え方は好きではないです。“勝ち”“負け”という考えは支配型で“弥生型意識”だといわれています。私は本来日本人のルーツは“縄文型意識”だという思想があります。

―どういうことでしょうか?

弥生時代は上位の身分にいる人が土地を所有してたくさんの農民を支配するというヒエラルキーで成り立っていました。現代のベースとなるピラミッド型支配です。ピラミッドのトップに立つと、多くの年貢米を納めさせることができて多くの利益を得ることができます。

ですが、その前の縄文時代は違いました。支配や競争はなかったんです。木の実やその辺に生えている植物をみんなで分け合って食べていましたから。弥生人の場合は木の実を食べようとすると「それは俺の土地で育った木でできた実だ!」と、所有権を声高に叫びますが、縄文人にとっては木の実を育ててくれたのは、太陽であり雨であり大地なんです。つまりそれは、“誰かのもの”ではなく“みんなもの”という意識になるんですね。

“みんなの地球の土地”であって“俺の土地”ではありません。“支配”じゃなくて“循環型再分配”、“競争”じゃなくて“協創”、そして“所有”じゃなくて“共有”です。お茶を栽培する人、いぶす人、売る人、それぞれがいて、みんなで循環させていく。プロジェクトごとにリーダーは別々。これが本来のダイバーシティだと思うのです。

――すばらしいですね、縄文型の社会。

先日、スーツケース2つでどこにでもいける人生にしたいなと思って断捨離をしました。そしてこれからは“一生使う”と確信が持てるもの以外は入手しないことに決めました。それが資源の循環型再分配にもなるなあと思って。いつかゴミになってしまうものを手に入れるより、これからずっと付き合いたいものや人に時間をかけたいなあと。

自分の子どもたちには「旅をしなさい」といつも言っています。私自身もお金はブランド品にではなくエアチケットを買って、旅にお金をかけてきました。

縄文型の意識はすばらしくピースフルです。みんなが縄文型の意識を持てるようになれば、一人ひとりが自分らしく力を合わせられる社会をつくっていけると思います。縄文時代は15,000年前から13,500年間も続いたのですが、なんとその間、戦はなかったそうなんです。ここで面白いなあと思うのは、縄文時代の町のリーダーは女性だったということです。

――そうなんですか! 女性だったんですか…素敵だなあ…。行ってみたいです。縄文時代に。

その時代をつくればいいんですよ! 私は今を新縄文時代だと思って、人生のre-designを楽しんでいます。

――自分らしく上手に「ゆるみ」ながら生きていきたいですね。第二回では「ゆるむ」コツをお届けします。※3月4日(月)12時公開予定

文/北 奈央子、撮影/鈴木 志江菜

大葉ナナコ/おおばななこ
公益社団法人 誕生学協会代表。株式会社バースセンス研究所代表。筑波大学大学院修了・保健学修士

1997年より妊娠前・妊娠中・産後の各世代への生命と性の授業を開発。研修やスクール、個人クラスを展開。官僚や政治家、経営者、芸能界にもクライアント多数。
次世代向けには誕生学プログラムを開発し、認定講師らと小中学校へ年間約800校に授業を届け、少年院でも採用されている。
日本初、民間で行政の両親学級開発など、誕生と出産教育の専門家として公益事業に従事。
近年はストレスマネジメントやオキシトシン研究者として「家族タッチセラピー」を開発・普及中。
2010年公開のドキュメンタリー映画「うまれる」製作メンバー。
三越伊勢丹マタニティベビーコンシェルジュ研修統括歴12年。
環境大臣公認アンバサダーでもあり「つなげよう、支えよう森里川海」プロジェクトや、環境省グッドライフアワード審査委員も7年目。「人のいのち、地球のいのち」学校プロジェクトほか、マザーアースへの想いをチームで!とSDGs事業を官民多連携して活動を展開中。著書共訳書26冊

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