【#FocusOn】スウェーデンでは避妊は女性が主体的に行うもの「#なんでないの」福田和子さんインタビュー<第三回>

【#FocusOn】スウェーデンでは避妊は女性が主体的に行うもの「#なんでないの」福田和子さんインタビュー<第三回>

スウェーデンに留学して帰国後「#なんでないの」を立ち上げた福田和子さん。世界にあって日本にない避妊具も含めてご紹介いただきました。スウェーデンでは避妊は女性が主体的に行うもので、そのための選択肢が用意されていて、情報提供もされています。日本の女性たちはそもそも選択肢があることも知らされず、選択できていないのです。第三回目は、避妊具と避妊方法について伺いました。


選択肢がない! 知らされていない! 実は避妊具はこんなに種類がある!

前回までの記事はこちらから

スウェーデンでもらってきた避妊具を持ってきたんですが、出してもいいですか?

写真上段左から:IUDと子宮模型(紫の円盤)、その間に/避妊インプラントを入れる器具
写真下段左から:避妊リング、RFSUのコンドーム、5日間有効なアフターピル「ella one」

――おおお!こんなにあるんですか!見たことないものだらけです。

この辺は日本にないですね。これは避妊インプラントと呼ばれるもので腕に入れるとホルモンが少しずつ出て3年間避妊ができます。避妊リングは膣からいれて、これもホルモンが少しずつ放出されます。IUD(Intrauterine device、子宮内避妊用具)は、日本では主に出産経験のある女性に勧められていますが、海外ではskylaという未産婦の人にもより使いやすいちょっと細めのものが一般的です。一度入れるとなんと5年程度効果があり成功率も99%を超えるのですが、スウェーデンですと値段も手ごろで、ユースクリニックだとIUDで3,000円程度だそうです。

――私、この間(産後)IUDを入れましたが50,000円くらい払いました…。

日本は高いですよね。低用量ピルも1シート2,000~3,000円しますし。若者たちの中には、産婦人科に行きにくいし、普通に買うと値段が高いから、海外のサイトで買ってしまう子たちもいます。それで体調が悪くなって日本の病院に相談したとしても、日本で正式に販売していないピルを服用している場合にはとりあってもらえないことも少なくありません。

実はむこうでインプラントをいれようとしたのですが、日本にないものなので帰国後扱えるドクターがいないのでは、と思いやめました。帰国後知ったのですが、避妊インプラントなどはアジア諸外国でも既に一般的です。最近は日本も移民の方が増えていますが、そういう方々が来日後、避妊インプラントのことで日本の病院にかかると、日本の医師は知らない方が多いので、「なんだこれは!?」となり、母国では看護師さんが処置できるようなことなのに手術騒ぎになってしまうことがあるそうです。手術できれば良い方で、そもそも対応してくれる医師もなかなか見つからず、そのためだけに帰国するお金もなく行き場を失ってしまう、そんなことが既に起こりはじめています。それは、ネパールからの移民の方々を支える方から伺ったお話です。今後日本の中でも様々な形で開かれていくであろう中で、早急に解決すべき課題ではと感じます。早く世界で普通に使われている避妊具が日本でも使えるようになってほしいです。

避妊注射も日本にないですね。3ヶ月効果が持続するので、3ヶ月に1度注射すればいいんです。WHOのDV被害者対応の手引きでは、実は避妊注射がお勧めされています。というのも、被害者側の避妊がばれると一層暴力が深刻化することがあり、ひとまずはばれにくい注射を薦めているのです。避妊シールもありますが、これも日本にはないですね。そもそも情報がないので、「日本にない」ということにみんな気づいていません。

世界では、避妊は女性が主体的にコントロールするもの

日本は国連加盟国189カ国中最後に低用量ピルが手に入るようになった国です。女性自身も「飲まされる」という感覚で、ウーマンリブのときもひとつの団体以外ピルに反対だったそうです。

――え?ウーマンリブって女性が妊娠や出産のコントロールを自分でできるようにしょうっていう運動ですよね?なぜ反対だったんですか?

ピルで避妊=男性にとってより簡単にセックスできる女性になってしまう、男の都合を満たすだけの薬なのでは、と考えたようです。でもコンドームによる避妊は全然完璧じゃないんです。コンドームは正しく使おうとしても失敗しやすく、結果、避妊の成功率8割といわれています。そして日本は性教育がしっかりされていないので、正しい使い方を教えてもらってないので成功率は更に低いのではと感じます。日本家族計画協会クリニックの調べでは、アフターピルを求めて受診した女性の7割はコンドームの破損や失敗が原因だそうです。男性が主導権をもつコンドームでの避妊でも、失敗したときに負担を負うのは女性です。それよりも女性がコントロールできる、より確実な方法を使った方がいいと思いませんか。女性が避妊をコントロールできる方法は本当はいくつもあるんです! それぞれ成功率も異なります。インプラントは低用量ピルより確率が高いといわれています。ピルはどうしても飲み忘れてしまうことがあるので。

それなのに、日本では女性が主体的に避妊をコントロールできる方法がいくつもあることを、ほとんどの人が知りません。知っていて選択しないのは個人の自由です。でも知らないが故に考えることも選択できることもできないのは絶対よくないと思うんです。なので、選択できることが大事なんです。選択肢が広がらないといけません!

――本当にその通りだと思います。特に40代女性はもう妊娠することはないだろうという思いから避妊せずにセックスをして結果、中絶するという人が多く、10代の中絶率についで2位だそうです。出産する人数より中絶する数の方が多いなんて悲しすぎます。

本当にそうですね。避妊具は自分の性とか性生活を考える良いきっかけだと思います。私はユースクリニックでそういう体験をしました。これがもうひとつの「#なんでないの」を立ち上げた理由です。ユースクリニックにピルの相談に行ったときに、ピルの説明をしてくれるだけでなく、「他の避妊方法考えてみた?」と、ほかの選択肢についても助産師さんが丁寧に教えてくれたんです。スウェーデンの若者はこのようにユースクリニックで相談して、最初にピルを飲む女性が多いですが、その後も避妊具カウンセリングを受けて、自分のセックスの頻度、生活、パートナーとの関係などを話しながら自分にあった方法を選ぶことができるんです。一方で日本はどうでしょうか。女性が避妊と言えばただピルが出てくるだけで、日本語の避妊の冊子にもウェブサイトにも日本にない避妊具の情報はなく、知りようがありません。

避妊法に関する信頼できる包括的な情報が得られない日本

――日本にないものは、英語がわからないとインターネットでも調べられないですよね。

そうですよね。英語を話せる友達は、性に関して悩んだときは海外のサイトで検索しています。イギリスは国の機関であるNHSがを作ってくれていますし…これみてください! はとてもおしゃれでわかりやすいんですよ!また注目したいのが、これらのページには避妊のことだけでなく、関係性の構築、性暴力、妊娠、性的合意、性の多様性、性感染症、セクシャルプレジャーなど、幅広い内容が網羅されていてとても包括的という点です。

――本当におしゃれだしかっこいい! 日本では考えられないですね…。

少なくとも英語ではGoogleで「避妊法」などと検索すると客観的な視点をもった信頼できるサイトがいくつか上位にきます。そしてそれらのページでは、先ほど紹介したサイトのように避妊のことだけでなく、幅広い内容が紹介されています。しかし日本語で検索した場合には、上位にくるページでもよくみると製薬会社の作ったページで、その製薬会社の扱う薬とその周辺の情報しか書かれておらず、海外のサイトにあるような包括的な情報が掲載されているページは見つかりません。信頼できて且つ包括的に情報を扱うサイトがなかなかないのです。性教育もなければ頼れるサイトもない、それではどこからどんな情報を得たらいいのか分からないですよね…。

情報にきちんとアクセスできる環境をつくることも本当に大切だと思います。今年、川田龍平議員の質問主意書の中に、「日本も若者が安心して頼れる正しい性に関する情報が得られるようにしてほしい。」というものがあったのですが、国からの返事では「すでに情報提供しているサイトがあります」ということでした。そのサイトは「女性の健康推進室ヘルスケアラボ」というものを指しており、確かに、性に関するものも含め、頼れる広範な情報を扱っています。しかし問題は、検索で上位にはなかなか来ないことがひとつ挙げられます。そしてなにより、あくまで「女性の健康推進室」であり、対象が女性に限定されています。その時点でリーチしにくくなる人たちが沢山います。しかしそれでひとまず努力しているのだから良しとする姿勢が問題だと感じています。性に関して頼れる情報にアクセスしにくいことの弊害を行政にももっと知ってもらいたいし何とかしてほしいと思います。そのためにはまずは自分が声を上げ続けたいと思っています。

――こんなにも日本の避妊具事情がガラパゴス化しているとはショックでした。最終回は福田さんから40代のBramanoli読者へ伝えたいことをお話いただきました。※12月21日(金)公開予定

文/北 奈央子、撮影/鈴木志江菜



福田和子さん
福田和子(国際基督教大学公共政策専攻 、#なんでないのプロジェクト代表)
1995年東京うまれ。大学入学当初から日本の性産業の歴史やジェンダーについて学ぶ中、2016年より1年間スウェーデンへ留学。日本とスウェーデンにおける性を取り巻く環境の余りの違いに愕然とし、帰国後、性の健康を当たり前に守れる社会を目指す「#なんでないの プロジェクト」を開始。「性で傷つくのではなく、人生豊かになる社会に」がモットー。執筆活動の他、講演活動などを行っている。世界性科学会Youth Initiative Committee委員、性の健康医学財団機関誌『性の健康』編集委員。




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