【#FocusOn】セックスレスを解消したいなら通い婚がベスト!? 脳科学者 中野信子さんインタビュー<最終回>

【#FocusOn】セックスレスを解消したいなら通い婚がベスト!? 脳科学者 中野信子さんインタビュー<最終回>

著書『不倫』を軸に脳科学者の中野信子さんに語っていただくインタビュー。今回は妬みの感情をどう処理すればいいのか、夫婦のセックスレス問題を脳科学的なアプローチからお話いただきました。


妬みの感情を持つ相手に出会ったらラッキー!

前回の記事はこちらから

――先ほど、不倫をしたパートナーに対する嫉妬の感情の処理方法についてお伺いしましたが、今回はSNSにキラキラした投稿をしている同性に嫉妬する感情をどうしたら良いのか、教えてもらえますでしょうか? 見たくないのに見ちゃう…というジレンマもあると思います。

まずそれはその人の人生で自分の人生ではない…ということをきちんと認識することですよね。だいたい良いところしか他人には見えないし見せないんですよね。いくらSNSにキラキラした投稿をしていたとしても、それはその人の人生の一部でしかない。それなのに良いところだけを見て勝手に根拠のない不安や苦しみ、妬みの感情をもってしまう。

――そうなんですよね…頭では分かっていても、感情は抑えられないです。

そういう時は自分がその人の何に妬みを感じているのか分析すればいいですよ。スキルの高さなのか交友関係の広さなのか豪華な暮らしなのか、すてきな家族なのか…あるいはそれらの組み合わせかもしれません。それがわかると、自分が何に価値を見出しているのか分かります。幸せそうな家族の様子をSNSなどに投稿をしている人に妬みを感じているのであれば、自分に足りない、自分が欲しいと思っている何かは幸せな家庭なんだということがわかりますよね。

――なるほど! それはいいですね。嫉妬する相手が現れたら「私が大切だと思うものはなんなのか教えてくれた。ラッキー!」と思うんですね。

そうそう。普段、自分に意識されている部分とはまったく違うところに本当は価値を見出しているかもしれないんです。

脳科学的にセックスレスを解消できる?

――Bramanoliはアラフォー女性向けメディアです。パートナーシップに関する記事への関心が高いのですが、その中でも特にセックスレス問題の記事が良く読まれています。脳科学的にセックスレスの状態ってどうなっているのでしょうか?

相手の存在に対してドーパミンが分泌されない状態です。デリケートな問題ですし、一刀両断に語っていいものかというためらいが私にはあります。ドーパミンが出ないのなら、じゃあどうやって出せばいいのか、というと量がもし簡単に調節できるのならセックスレスどころか世の中のほとんどの課題は解決しそうです。つまり、極めて困難だということです。

ただ、本当にセックスの問題で悩んでいるのか、というとそうではないのではないでしょうか? セックスを“している” “していない”ということは、愛情の度合いや女としての魅力とはあまり関係がないのでは? 完全に無関係というわけではないので話がややこしくなるのですが、例えばセックスワーカーが非常に魅力的な女性/男性で、多くの人と愛情あふれる関係を築いているか、というとそれはまた別の要素ということになるでしょう。

セックスをしているかどうかで深刻に自分の魅力を計ろうとしすぎであるかもしれない点をまず考慮すべきだと思います。自分自身の価値を自分で肯定する習慣がないので、誰かから肯定されるかのような行動があるのを待つしかないのかもしれませんが、本当に自分が求めている価値は何なのか改めて考える必要があります。

――たしかに…セックスをしてもらえない私は女として終わりなんだ…などと思いがちですよね。

そうです。あとは、生物学上の理由から、近親相姦が出来るだけ起こらないようにする必要があるのだろう、ということも理由としては考えられます。実は、脳では相手がセックスして子どもを残してはいけない相手なのかどうかが判断できない。

もちろん何らかの証明があったり遺伝子を調べたりすればわかりますよ。でも相手を見ただけで、この人は血縁であるから子どもを作ることは許されない、ということを瞬時にジャッジできないんです。むしろ、遠く離れて育ち、相手が自分の血縁かどうかわからずに出会った二人が、もし双子だった場合、却って恋愛関係になってしまう確率が高くなるという報告があったりします。

逆にいうと、実際に血縁があるかどうかではなく、一緒にいる時間が長いことが、血縁の有無を判断する基準になっているのではないか? ということが考えられるのです。

――なんと…それじゃあもうセックスレスになるのしょうがないですね…。しかしそれは生活時間がバラバラで顔を合わせる頻度が少ない夫婦でもそう判断してしまうんですか?

結局、同じ空間で生活していますからね。

――だとしたら夫婦がセックスレスを解消する一番の方法は…

一緒にいないこと。別居がベスト! 通い婚が一番だと思います。言いにくいことですが、不倫ならOKの「妻だけED」という男性がかなり多いのだそうです。夫とのセックスを本当に重要視するのであれば、お家にいる「奥さん」ではなく、あたかも自分が夫の不倫相手の「人妻」であるかのように環境を再構成してみるのも、相手の脳にドーパミンを出させるための一つの方法かもしれません。ただ、まあ、本当に切実にそうしたいならともかく、とても面倒な作業だろうとは思います(笑)。

4回に分かってお送りした脳科学者 中野信子さんのインタビュー。いかがでしたでしょうか? 脳科学的にセックスレス解消の一番の方法は別居、通い婚。そして不倫をするのはしょうがない。身も蓋もないような気もしますが「人間が長く一緒に生活する中でセックスレスになるのはしょうがない」「不倫をされるのは自分のせいではない。自分が原因ではない。相手の問題である」などというお話は、パートナーとの関係で辛い思いをしている女性たちへの大きなエールになるのではないでしょうか。中野信子さんの著書『不倫』(文春新書)は必読です。

文/和氣恵子 撮影/鈴木志江菜

脳科学者 中野信子さん
脳や心理学をテーマに研究や執筆の活動を精力的に行う。科学の視点から人間社会で起こりうる現象及び人物を読み解く語り口に定評がある。

著書に『戦国武将の精神分析』(宝島社新書・共著)『シャーデンフロイデ~他人を引きずり下ろす快感~』(幻冬舎新書)『ヒトは「いじめ」をやめられない』(小学館新書)『あの人の心を見抜く脳科学の言葉』(セブン&アイ出版)他多数

不倫 (文春新書)

¥ 896

『不倫』(文春新書) バレたら仕事も地位も家族も金銭も失うとわかっているのに、なぜ人は不倫をやめられないのか?社会が過剰な不倫バッシングに走りがちになるのはなぜなのか? 最新脳科学の知見をもとに、進化の過程で人類が選択した「生存戦略」、「社会的制裁」の謎に迫る!



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