“自転車”で事故を起こした時はどうすればいい?【弁護士が教えるかしこい交通事故相談所 #2】

“自転車”で事故を起こした時はどうすればいい?【弁護士が教えるかしこい交通事故相談所 #2】

こんにちは。弁護士の中川みち子です。交通事故といえば、車同士、車と歩行者などをイメージしませんか?最近では自転車が加害者になる事故が増えています。そのため、子どもや老人も交通事故の加害者になる可能性があるのです。自転車で事故を起こしたらどうなるのかを知っておきましょう。


自転車のマナーについて

最近、自動車には衝突回避システムが搭載されていたり、障害物への注意喚起機能が充実していることから、自動車事故による死者数は減少しています。しかし、自転車事故は増加傾向にあります。自動車事故数ワースト1位の大阪府では、1年間に1万件以上の自転車事故が発生しています。そして事故による負傷者数も増えているのです。

自転車を運転する人が加害者になることが増えている背景として、スマートフォンを操作しながらの運転や無謀運転が原因の一つと考えられます。自転車は原則として車道を通行することになりますが、歩道を走行できる場合もあるので、接触などで加害者になりやすいのです。

実際に自転車を運転していると、信号無視や逆走、無灯火などをよく見かけます。

自転車も「道路交通法」の対象です

道路での通行方法などを定めた道路交通法。この法律では、自動車だけではなく、歩行者や自転車の通行方法も定められています。

また、自転車については「軽車両」と定義されていて、車両の一種として扱われています。たとえば酒酔い運転(お酒を飲んでアルコールを体に一定程度残した状態で運転する)のは、たとえ自転車であっても禁じられています。最近、酒に酔った状態で自転車を運転した女性が逮捕されたというニュースが出ていましたが、刑罰の対象になりうるのです。

このように、自転車も道路交通法を守って走行する必要があります。自分が気を付ければよいだけではなく、自転車は子供や老人も運転することから、家族が加害者にならないように監督することも必要です。

自転車が“加害者”になる場合もあります

「自転車だから大した事故にならない」というのは過去の話です。現に高額賠償の裁判例が出ています。
平成25年に神戸地裁で出た判決では、11歳の子どもが自転車で62歳の女性に衝突して脳挫傷や頭蓋骨骨折の傷害を負わせた事故で、親権者が監督責任を怠ったとして、被害者と被害者に保険金を支払った保険会社に、合わせて9,520万円の支払いを命じました。金額もさることながら、被害者に重い障害を負わせて人生を一変させてしまったことは取り返しがつきません。

とにかく、自転車は車両の一種と認識して、信号や走行車線、歩道を通行するときは歩行者優先でスピードを落とすことなどを必ず守ってください。

子どもが事故を起こした時 “監督者責任”とは?

先ほどの判例は、事故を起こした子どもが賠償を命じられたのではなく、親が支払いを命じられています。これはなぜでしょう?

今回事故を起こした子どもは11歳でした。11歳と言えば物事をある程度理解できますが、行為の結果を予測して様々なことを判断する能力が備わっているかいないかの境目です。法律においては、「自己の行為の責任を弁識するに足りる知能を備えていなかった」場合にはその子どもは責任を負わないが、その場合は監督すべき親などに責任を負わせることになるのです。

つまり、子どもが適切なスピードで、適切な運転をするように指導・監督し、ヘルメットの着用なども指導していたら事故は回避できたと思われるから、そういった監督をしていなかった親に責任を追及するということです。

正直、厳しい責任だと思いますが、賠償できるように保険に加入していたらこのような問題は避けられるのではないでしょうか。

正しい自転車のルールを知っておこう!

勘違いしやすい自転車のルール、あなたはいくつ知っていますか?きちんと守っていますか?

 □自転車は車道走行が原則
 □車道は左側を通行する
 □車道の逆走禁止
 □歩道を通行する場合、歩道の車道よりを通行
 □歩道を通行する場合、歩行者に注意して徐行運転
 □傘をさすなどで片手運転することは禁止
 □夜間走行はライト点灯が必要
 □並走は禁止

自転車事故への備えを知りましょう

どんなに気を付けていても、交通事故は避けられない時があります。自動車の場合任意保険に加入するのは当然ですが、自転車に乗るときも保険に加入するようにしましょう。

自転車事故の増加に伴い、自転車保険の加入を義務付けたり、努力義務と位置付ける「自転車条例」を定める自治体が増えています。自転車事故に特化した保険もあるようですが、一般的には「個人賠償責任保険」に加入することが多いでしょう。火災保険や自動車保険に特約として付けることができます。この機会に保険に加入しているか、有効期間が切れていないかをチェックしておきましょう。
関西では、「アワイチ」という淡路島を一周するサイクリングや、「ビワイチ」という琵琶湖を一周するサイクリングが流行っています。しまなみ海道でもサイクリストが多く、自転車道が整備されています。東京でも自転車シェアリングが始まっています。うまく利用すれば地球温暖化を防止するエコで健康的な乗り物です。

道路交通法に従う、歩行者やほかの自転車に配慮する、保険に加入する、この3つを守って快適な自転車ライフを楽しんでいただければと思います。

弁護士 中川 みち子



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この記事のライター

平成17年10月に大阪弁護士会に登録する。平成21年8月にきらり法律事務所を立ち上げ現在に至る。

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