【#FocusOn】「不妊治療 自分を否定し続けた日々」女優・加藤貴子さんインタビュー<第三回>

【#FocusOn】「不妊治療 自分を否定し続けた日々」女優・加藤貴子さんインタビュー<第三回>

44歳、46歳で出産を経験した女優・加藤貴子さん。インタビュー第三回目は「自分の思考のクセに気が付くことの大切さ」についてのお話です。


不妊治療を始めて自分の人生を否定し続けた

前回の記事はこちらから

私、不妊治療を始めてからずっと自分の生き方を否定してしまっていたんです。「なんであの時もっとしっかり妊活しなかったんだろう」とか「仕事や目先のことばっかりしてしまって、ちゃんと妊娠・出産という大切なコトに向き合ってなかった」とか。それで、自分が嫌いになりました。でもそうじゃないんですよね。過去の自分があるから今の自分がある。だから、自分を好きになれなかったとしても、愛してあげよう、受け止めてあげようって思ったんです。

―不妊治療中の女性は自分が欠陥人間だと感じたり、女性として劣っていると感じてしまうと聞いたことがあります。

そうなんです。本当にもう自分を全否定してしまうような気分になってしまう。でも、過去に引っ張られていいことなんて何もない。もちろん経験によってネガティブな感情が湧き出てくることはあります。そういう時はその感情を深追いして膨らませたり、原因を探ったりしないでただ“そのまま受け止めて”あげる。「またこんなこと思っちゃった」とか付け加えずに、ただただ「あー私はいまこんな気分なんだな」と、受け止める。そうすると知らない間にその気持ちがどっかにいっちゃいます。光を当てるだけで闇が消えていくみたいに…

―難しいですね…理由も分からずただ漠然と不安、なんていう時もありますよね。

ありますね。そういう時は逆にその不安な気持ちの理由を書き出したらいいと思います。本にも書いたのですが、不安の正体がわかったら案外「大したことじゃないな」って、楽になったりするんです。おススメですよ!

―過去にこだわらない、ネガティブな気持ちは受け止める…簡単なように思えてこれはなかなか大変なことですよね。訓練が必要な気がします。

もちろんすぐにはできないですよ! 私もできる時とできない時があるんですけど日々意識してそうするように心がけています。意識するだけでも次第に、自分をもてあまして、どうにもならなかった感情のスパイラルから抜け出す時間が短くなっているように思います。

そして、これも不妊治療をしている中で気が付いたことなんですけど…起こった出来事がその時は“悪いこと”のような気がしても、それを人生トータルで見た時に本当に悪いことだったかどうかは死ぬその時まで分からないと思うんです。流産してしまったことがきっかけで知り合うことになったドクターは、その後私が大変な出産をする時に立ち会ってくださって、そのドクターのおかげで無事に二人の子どもが産まれてきてくれたんです。流産した時は本当に絶望して辛かったけれど、そのおかげで元気な子どもに会うことができて悦びを味わうことができました

だから今、すごく辛いと思うことがあってもその気持ちが永遠に固定されることはないし、その出来事がきっかけで後に訪れることになる幸せのかたちがあるかもしれない。起こること全てにすぐに良し悪しの判断をしないことを学びました。

―素晴らしいですね。本当にそうだと思います。その出来事や気持ちに捉われすぎていても自分は幸せにはならないし、自分で自分を不幸にしているようなものですものね…

ええ。でもそういう風になってしまうのは本当にわかるんです。こんなことを言っている私だってしょっちゅう捉われていますし(笑)アラフォーまで生きてくると頑固な“思考のクセ”ができちゃうと思うんです。だから、「私には思考のクセがある」って意識して、少しづつクセをつかんでは手放しつかんでは手放し…っていうことしかできないと思うんです。意識するだけできっと違うと私は思っています。

そういえばね、先日CMのロケで年配の女優さんと一緒だったんです。その方がね、俳優の仕事について色々質問してくるんです。「私より随分芸歴が長いはずなのになんでこんなこと聞くんだろう?」って不思議だったんですね。それで聞いてみたら、その方、60歳から役者を始めたそうなんです!なかなか壮絶な人生の方だったんですけど、ずっと役者をやらないで生きてきたことを後悔していて「やっぱりやろう!」って60歳から始めたって。「人からどう見られようとそれが私のスタートなの」って感じで活き活きしていました。素敵ですよね。“今をキチッと生きている人”そう思いました。

―素敵ですね…人生100年時代と言われるなか、そうやっていつでもスタートの切れる人間でいたいなあって本当に思います。

本当にそうですね。私も42歳から不妊治療を始めましたが、それが私のスタートするべきタイミングだったんだと今は思えます。人にはそれぞれのタイミングがある。だから例えば「アラサーになったから結婚しなきゃ、出産しなきゃ」とかじゃなくて、自分のタイミングで物事を決めて実行することが大切なんだと思います。

もちろんね、講演などに呼んでいただいてお話させていただく時には私のような苦労は皆さんにしてもらいたくないので「子どもを望んでいるのなら一刻も早く妊活してください」って伝えています。だけど、一方では…私は遅すぎることもなく、早すぎることもなく、私のタイミングで出産を経験したと思っています。仕事を思いっきり頑張って主人とふたりの時間を10年近く過ごしたあの時こそ、出産すべきタイミングだったんだろうなあって。

―夫婦二人三脚の努力で不妊治療を頑張り、出産した加藤貴子さん。最終回は育み・出産し・育てる、という経験をして今、思うことについてお話いただきます。最終回はこちらから

文/和氣恵子



加藤 貴子 女優
アイドルグループのメンバーとしてデビュー。TBSの昼ドラマ愛の劇場の「温泉へ行こう」シリーズのヒロインを演じ人気者に。
2013年結婚。2014年第一子、2017年第二子を出産。2018年3月に自身の妊活体験をまとめた『大人の授かりBOOK』(ワニブックス)を出版。

42歳で、「子どもがほしい」と踏み込んだ不妊治療の世界。男性不妊、流産、不育症――。起こった全てを「〇」に変えるための、心の処方箋。
不妊治療を経て、44歳、46歳で出産した、女優・加藤貴子が伝えたい、妊活クライシスにならないための「小さな習慣」。



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