交通事故に遭ったらどうしたらいい?【弁護士が教えるかしこい交通事故相談所 #1】

交通事故に遭ったらどうしたらいい?【弁護士が教えるかしこい交通事故相談所 #1】

こんにちは。弁護士の中川みち子です。皆さんは自動車を運転しますか?自転車はどうですか? 現代は車社会なので、だれがいつ交通事故に遭ってもおかしくありません。自分や家族が事故にあったときに、どう対処すればいいのかをぜひ知っておいてください。


交通事故で生じる責任

交通事故を起こして人に怪我をさせた場合に発生する責任は3つあります。

刑事上の責任

交通事故を起こして人に怪我を負わせたり死亡させた場合は、自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律(以下「自動車運転処罰法」という)により処罰される場合があります。交通事故を起こした際、警察が現場に来て聞き取りをしたりするのはこのためです。

行政上の責任

交通事故を起こした場合に、自動車免許が停止や取消になったりするのは行政の処分が出るからです。反則金を課される場合もあります。

民事上の責任

交通事故で相手の車両や自転車を傷つけたり、怪我をさせた場合に、その物や怪我に対して賠償する責任が民事上の責任です。損害額が多額になりがちなので、必ず任意保険に入っておきましょう。

事故の態様や被害の大きさによって異なりますが、全ての責任を負う場合もあるので交通事故は考えているより対処が大変です。

交通事故で被害を受けたら

あなたが交通事故に遭遇して被害者になった時に、やるべきことはなんでしょうか?

第一には警察に通報することです。

よく、軽微な事故だからと警察に連絡しない人がいますが、交通事故に遭った場合は必ず通報しましょう。警察が記録を残して「事故証明書」を発行することで、のちに損害賠償請求をする際に事故があったことの証明になります。

次に、大きな怪我を負った場合はすぐに救急車を呼んでもらい病院に行くべきです。もしそれほど怪我がなく普通に会話ができる場合は、相手方の名前や連絡先を聞くほか、事故の状態を写真に納めておくと、のちのち役に立ちます。

自分の怪我の状態や、自動車・自転車などの車両のへこみ部分、自分の位置と相手の車両の位置などをスマホ等で撮影しておくのです。というのは、事故直後は事故を起こしたことを謝っていた加害者が、のちに全く違うことを言い出すことはよくあることだからです。

そして、自動車を運転中の事故なら任意保険会社に連絡してください。歩行者や自転車乗車中の場合も、自分や家族の自動車保険で保険金が下りる場合もあるので念のため連絡すると良いでしょう。

相手の情報を確認し、警察が現場に来て確認してくれたら、少しでも怪我や痛みがあれば病院に行きましょう。事故直後は緊張しているので痛みを感じない場合でも、その日の夜や翌日から痛みを訴える人は多いです。打撲程度でも病院に行くことをお勧めします。

被害者が請求できる損害

交通事故で被害に遭った場合、怪我や後遺障害の程度、就職の有無によって異なりますが、主に次の損害について賠償を求めることができます。


①怪我の治療費
②壊れた物の価値
③傷害に関する慰謝料
④休業損害
⑤後遺障害に関する慰謝料
⑥将来の逸失利益


治療費については健康保険を利用して治療するべきかどうか悩む時があります。もしあなたに過失がある事故であれば、健康保険を利用して治療費の総額を下げておく方がよいでしょう。健康保険を利用しない自由診療では、1.5~2倍の治療費がかかるのが一般的です。なお、通勤途中や就業中の事故の場合は、労災保険が使えますので、勤務先に相談してください。

壊れた物については、購入価格ではなく、壊れた時点での価格になります。つまり、衣類などであれば購入して1、2年経過しているとその分価値が下がっているので下がった価格になります。

傷害慰謝料は、怪我の治療期間や治療の頻度によって金額が変わってきます。休業損害は、仕事を休んだ期間の支払いを受けなかったり、有給休暇を利用した部分の給与相当額が賠償されます。学生でもアルバイトを休んだ場合や、主婦で家事労働ができなかった場合でも請求できます。

事故後6カ月以上経過して、治療を続けても効果が期待できず障害が残った場合、医師の診断書などを提出して後遺障害を認定してもらえれば、後遺障害についての慰謝料、後遺障害があることで将来得られる収入が減少する可能性がある場合には将来の逸失利益が認められます。

事故の交渉はどうしたらよいか

交通事故に遭ったときは、加害者側の保険会社の担当者が連絡をしてきて、治療費などを病院に直接支払ってくれることが多いでしょう。また、治療が終わったときはあなたの損害についてこれだけ賠償しますと提案するでしょう。ですが、大抵の人はそれが適正かどうかがわかりません。そんな時は、ぜひ弁護士に相談してみてください。

もちろん費用はかかってしまいます。ですが、自動車保険に弁護士特約が付帯している場合は保険金でカバーできます。もし自分で負担が必要な場合でも、依頼すると賠償金が増加することが多いので損にはならないと思います。

というのは、相手方の保険会社が提案する賠償額は、被害者本人が相手の場合は、自賠責保険を基準にすることが多いからです。自賠責保険の範囲内での賠償で済むのであれば、任意保険会社は自己負担がないため、低い基準で提案するのです。
しかし弁護士が代理人となった場合、自賠責保険の基準より高い基準で交渉ができます。

過失割合ってどうやって決まるの?

交通事故の損害賠償の交渉や訴訟において、一番争点となるのは過失割合です。過失割合は警察が決めてくれると思っている方が多いのですが、警察は民事不介入ですから、過失割合について関与しません。

今までの裁判例などから、交通事故のパターンによって過失割合をある程度出すことは可能です。しかし、そもそも事故の態様がどうであったかについて当事者の認識が異なる場合は揉める原因の一つです。そのためには事故後すぐにやるべきこととして、写真や状況の確保が必要です。最近ではドライブレコーダーの画像で事故の状況がよくわかることもあるので、自分の車に設置するのもよいでしょう。
 
自動車運転者が加害者の交通事故では、保険が整備されているため損害を請求できることが多いです。しかし、大きな怪我をして取り返しのつかない後遺障害を負うことや、負わせる可能性が高いのが交通事故です。自動車は使いようによっては危険な凶器になることをわかって安全運転したいものですね。

弁護士 中川 みち子



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この記事のライター

平成17年10月に大阪弁護士会に登録する。平成21年8月にきらり法律事務所を立ち上げ現在に至る。

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