離婚にまつわる「お金」の話【弁護士が教えるかしこい離婚相談所#02】

離婚にまつわる「お金」の話【弁護士が教えるかしこい離婚相談所#02】

こんにちは弁護士の中川みち子です。以前は結婚年数の短い20代~30代前半の離婚の相談が多かったですが、最近は40~50歳代が増えています。子育てにはお金が必要なので、我慢を続けて経済力をつけてから離婚するというケースです。離婚となるとお金の心配がつきまとうのは当然です。そこで今回は離婚にまつわるお金のお話しです。


離婚の際に決めるべきお金とは

財産分与

財産分与とは、結婚生活において例えば夫が得た収入であっても、妻がその収入を得ることや財産形成に寄与した場合、名義が夫の財産であっても妻に権利があると考えられる財産を分けることです。

典型的なのは、夫が仕事で給与を得て、妻が主婦として家や子どもを守っていた場合、妻の協力によって安心して仕事を行えたとして給与収入から形成した夫名義の預金の一部を妻に分与するパターンです。財産分与は通常2分の1とされていますが、夫が高い技能を持っていてそれで収入が高額である場合(音楽家や医師など)は、妻への財産分与が2分の1より少なくなる場合があります。

また、例えば夫が相続などで得た財産は、妻の協力の下で形成した財産ではないので財産分与の対象外となります。ある程度婚姻期間が長い夫婦では、財産分与が一番の争点になります。

養育費

未成年の子どもがいる場合、夫と妻のいずれが親権を持ったとしても、養育費の問題が発生します。なお、養育費は親権者が請求できるのではなく、実際に子どもを養育監護している方がもう一方に請求することになります。

養育費額の目安は、家庭裁判所が目安としている「養育費算定表」を参考にしている方が多いと思いますが、最近では日本弁護士連合会が、今までの「養育費算定表」の基準が現実を反映していないとして、「新養育費算定表」を作成しています。算定表は一つの目安になりますが、家庭によって事情は異なりますので、その点を主張していくべきでしょう。

なお、相続した財産からの収益は、養育費を払う側の収入に含まれないとの考え方もありますが、これまで生活費として利用していた場合は、対象にするという考え方も成り立ちます。

養育費は子どもの生活に影響し、長期間に渡って取得するものなので高額になります。成人年齢引き下げの論議の影響を受けて、いつまで支払えばよいかも今後問題になってきますね。根気強く交渉し、後悔のないようにしましょう。

慰謝料

いわゆる不貞や、暴力行為など、配偶者が不法行為の責任を持っている時に請求できます。
しかし、一般的に慰謝料額の相場はそれほど高額ではなく、不貞行為の慰謝料は50万円~300万円といわれています。

金額の割には、立証が非常に困難なのも実情です。相手方の不貞や暴力行為の立証のほか、自分自身の損害の立証も必要になってきます。

婚姻費用

婚姻費用は、婚姻生活が継続している間、扶養義務に基づき受け取る生活費です。扶養されている妻が子どもの面倒をみている場合、子どもの生活費も含めて支払ってもらえます。つまり妻は、離婚に至るまで夫の収入で戦うことができるのです。離婚するまでの間しか受け取ることができないのですが、専業主婦など収入の少ない方にとっては忘れてはなりません。

ただし、婚姻費用は十分な金額ではないことが多いのも現実です。

年金分割

婚姻期間中に厚生年金記録などがある方には、離婚時に年金分割を請求することができます。夫がサラリーマンで厚生年金に加入し、妻が扶養に入っているような場合です。0.5の割合で分割を受けることが多いですが、もらえる年金の半分を取得できるという訳ではありません。あくまでも、婚姻期間の年金記録を分け合うので、年金を取得するためには、分割を受けた側が支払い期間などの受取のための条件を満たすことが必要です。そして、離婚後2年以内に年金事務所に分割の申請をすることも忘れてはいけません。

面倒な手続ですが、60歳または65歳になったときに、分割してもらって良かったと思える制度なので、ぜひ分割してもらいましょう。

集めておくべき資料について

財産分与を主張するためには、配偶者の財産をしっかりと把握しておく必要があります。養育費の算定には、相手方の収入を明らかにする資料(源泉徴収票や確定申告書)が必要です。年金分割については事前に「年金分割のための情報提供書」を取り寄せます。

そのため、離婚の相談を受けた初回は、資料の収集をお願いすることが中心になります。くれぐれも「何も調べないで家を飛びだした!」なんてことにならないようにしてくださいね。

弁護士 中川 みち子



本サイトに記載する情報には充分に注意を払っておりますが、この記事の情報及びこの情報を用いて行う利用者の判断について、完全性、正確性、有益性、特定目的への適合性、その他一切について責任を負うものではありません。この記事の情報を用いて行う行動や、判断・決定は、ご自身の責任において行っていただきますようお願い致します。

この記事のライター

平成17年10月に大阪弁護士会に登録する。平成21年8月にきらり法律事務所を立ち上げ現在に至る。

関連する投稿


交通事故に遭ったらどうしたらいい?【弁護士が教えるかしこい交通事故相談所 #1】

交通事故に遭ったらどうしたらいい?【弁護士が教えるかしこい交通事故相談所 #1】

こんにちは。弁護士の中川みち子です。皆さんは自動車を運転しますか?自転車はどうですか? 現代は車社会なので、だれがいつ交通事故に遭ってもおかしくありません。自分や家族が事故にあったときに、どう対処すればいいのかをぜひ知っておいてください。


夫から「好きな人ができた 離婚したい」と言われたら?【夫婦問題お悩み相談室 #20】

夫から「好きな人ができた 離婚したい」と言われたら?【夫婦問題お悩み相談室 #20】

いつどうなるかわからないのが結婚生活。ごく普通に幸せに暮らしていたのに、ある日突然、パートナーから離婚宣言されることもあります。今回は、突然、夫から離婚を言い渡された妻からの相談です。ある日パートナーから「好きな人がいる」「離婚したい」と言われたら、あなたはどうしますか?


相続にまつわる注意点 苗字が変わっても相続できる? 内縁の妻の遺産は?【弁護士が教えるかしこい相続相談所#6】

相続にまつわる注意点 苗字が変わっても相続できる? 内縁の妻の遺産は?【弁護士が教えるかしこい相続相談所#6】

こんにちは。弁護士の中川みち子です。相続に関する勘違いってよくあります。これは、日常生活で考える常識と、法律の定めはちょっと違う場合があるからです。きょうは勘違いしやすい相続の注意点をおさらいしたいと思います。


義理の両親や兄弟と揉めないために。夫の相続【弁護士が教えるかしこい相続相談所#5】

義理の両親や兄弟と揉めないために。夫の相続【弁護士が教えるかしこい相続相談所#5】

これまでの連載で相続する権利がある人は誰かということを説明してきたので、夫が亡くなった時に妻が相続人であることはお分かりかと思います。しかし妻は夫の財産のすべてを相続することはできません。子どもと分けたり、親や夫の兄弟と分けることになります。ここで問題をはらむ場合が多いのです。 今回は、夫の相続についてご紹介します。


争いにならないために 「親の遺産相続」の方法【弁護士が教えるかしこい相続相談所 #4】

争いにならないために 「親の遺産相続」の方法【弁護士が教えるかしこい相続相談所 #4】

こんにちは。弁護士の中川みち子です。親との別れは必ずやってきます。残された兄弟間では、親しい関係だからこそ遺産や金銭の話はしにくく、関係が微妙になることはよくあります。 親の世代からは相続で兄弟仲を引き裂かないために、子どもの世代からは誤解や思い込みで兄弟の関係を悪化させないようにかしこい相続の方法を学びましょう。


オススメ情報

業界最多の非公開求人からご希望に沿った求人をご紹介、あなたの転職を成功に導きます。



業界最多の非公開求人からご希望に沿った求人をご紹介、あなたの転職を成功に導きます。



最新の投稿


【#FocusOn】42歳で不妊治療スタート 44歳、46歳で2度の出産 女優・加藤貴子さんインタビュー<第二回>

【#FocusOn】42歳で不妊治療スタート 44歳、46歳で2度の出産 女優・加藤貴子さんインタビュー<第二回>

昼ドラ『温泉へ行こう』に主演し人気を博した女優の加藤貴子さん。42歳から不妊治療を始め44歳と46歳で出産し、現在2人の男の子のママです。その妊活体験をまとめた『大人の授かりBOOK』(ワニブックス)が出版されました。今回は本に書かれていないアレコレもふくめて加藤さんに根掘り葉掘り聞いてきました。その第二回目です。


【雨宮なおみの12星座占い】2018年10月 後半編(10/15~10/31)の運気

【雨宮なおみの12星座占い】2018年10月 後半編(10/15~10/31)の運気

ライターとして長年占い原稿を執筆するうちに独学で占術を学び、頼まれもしないので周囲を占っていたら「当たる!」と評判になってしまった雨宮なおみ。ひょんなところからBramanoli編集部に発見され、満を持して連載スタート!


宮本真知のタロット占い【10月15日(月)~10月21日(日)の運気】

宮本真知のタロット占い【10月15日(月)~10月21日(日)の運気】

あなたの心に寄り添いながらそっと背中を押してくれると評判のタロット占い師、宮本真知がお届けする週間タロット占い。直観を信じて…今週のあなたの運気は?


夫の姓は名乗りたくない 事実婚が理想なのですが…【夫婦問題お悩み相談室 #25】

夫の姓は名乗りたくない 事実婚が理想なのですが…【夫婦問題お悩み相談室 #25】

結婚すると、妻は夫の戸籍に入籍するのが一般的。保険書類もパスポートも姓の変更手続きが必要となり、女性のほうが何かと大変だと言われています。今回は、事実婚と結婚時の姓の変更についてお話します。


目の下のたるみ「ゴルゴライン」のケア方法【アラフォーから始める美肌作り#11】

目の下のたるみ「ゴルゴライン」のケア方法【アラフォーから始める美肌作り#11】

「ゴルゴライン」ってご存知ですか?目の下のたるみがまるで、ゴルゴ13の目の下のシワのように見えることからつけられた名称です。これができると一気に老けて見えますよね。ゴルゴ線ができないように松瀬詩保さんにしっかり教えていただきましょう!








よく読まれている人気記事


>>総合人気ランキング
militarycenter.com.ua/sredstva-dlja-chistki-oruzhija.html

https://teplostar.kiev.ua

http://babyforyou.org