カンタンにできるマインドフルネス呼吸法【大人のマインドフルネス入門#3】

カンタンにできるマインドフルネス呼吸法【大人のマインドフルネス入門#3】

マインドフルネスの基本は呼吸法です。とてもシンプルな方法なので、だれにでもすぐに始められます。美肌、ストレス緩和、集中力アップなどに有効であるという脳科学的な根拠もあります。


呼吸法のやり方とポイント

効果的に呼吸法を行うために、姿勢、呼吸、意識の3つのポイントをおさえましょう。
ただ、書いてあるやり方にこだわる必要はありません。心地よく続けられるのが1番! 自分なりのやり方をみつけて、気楽に1呼吸からやってみましょう。

【ステップ1】姿勢を整える

椅子に座る場合は、浅く腰掛けて背もたれから背中を離します。足の裏を床にしっかりつけます。

床に座る場合は、特に決まりはありませんがマインドフルネスのルーツである座禅の座り方は、姿勢が安定して集中しやすくなります。基本的には右足先を左足の太ももの上に乗せ、左の足先を右足の太ももに乗せる結跏趺坐(けっかふざ)ですが、初めは痛く感じるかもしれません。片足だけ太ももに乗せる半跏趺坐(はんかふざ)、両足を下ろした安楽坐(あぐら)を試してみるのもおすすめです。そのまま床に座るより、クッションやヨガブロックなどをお尻に敷くと両ひざとお尻の3点で体が固定され、楽に長く座れます。
椅子か床に座ったら、体を前後左右に揺すってお尻が安定して体がまっすぐになる位置を探ります。

頭のてっぺんが天井から引っ張られているようなイメージで背すじを伸ばし、顎を軽く引きます。両手を膝の上など好きな位置に決めておきます。手のひらを上にすると、肩が外をむいて胸が広がり呼吸しやすくなります。そして、肩の力を抜きます。

最後に目を閉じるか、半目を開いた状態(半眼)で斜め下45度の角度に視線を落とします。ヨガでは目を閉じ、座禅では半眼で行うのが一般的です。

【ステップ2】呼吸を整える

初めにおへその下あたりの腹筋を意識しながら吐き切ってから、自然に鼻から息が入ってくるのを感じてみましょう。そのあとは鼻から吐いて鼻から吸う、自然な呼吸を続けます。
何秒吸って何秒吐くとか、難しく考える必要はありません。秒数にこだわって無理をすると呼吸を不快に感じてしまい、せっかくのリラクゼーション効果が得られなくなります。

【ステップ3】意識を呼吸に向ける

鼻の穴から入ってくる空気の流れ、空気が喉、気管を通って肺が広がり、お腹がゆっくり膨らむのを感じます。そのあとお腹が凹んで、空気が肺、気管、喉、鼻の穴を通って出て行くのを感じます。

しばらくすると誰でも気がかりなことが頭に浮かび始め、あれこれと考えを巡らせたり空想したりする状態になります。

次に、呼吸から注意がそれている自分に気づく時がきます。この時よくあるのが、呼吸に集中できない自分を「私は集中力がないな」と批判したり責めたりすることです。人は誰でもいろんな考えが浮かぶような脳の働きをしています。呼吸から意識がそれるのは当たり前のことなのです。いつもと違うのは、「呼吸ではないことを考えていた自分に気がついた」というところ。考えにふけっていた自分を一歩引いて観察できたのは、凄いことです。雑念のある自分に気づく、そのときに脳の前頭葉にある部分が活性化します。このプロセスこそが呼吸瞑想で大切なのです。

雑念に気付いたら、意識をそっと呼吸にもどし、再び呼吸に注意を向けていきます。あとは、この呼吸に意識をむけて、雑念が起こり、気付いて戻すというサイクルを繰り返すだけです。

呼吸法を行うのにもっとも適している時間は○○

呼吸法によって脳の活動や脳の大きさが変わるほどの効果をもたらすには、毎日続けることが必要です。筋トレすればその筋肉が発達するように、呼吸法を続ければ、脳は変わってくるのです。1日5秒でも、呼吸に集中する瞬間を持つことが大切です。できれば、5分から20分の瞑想タイムを毎日設けて、週に1回くらい30分以上の長めの瞑想を実践するとより効果的です。

人によりますが、朝早く起きて瞑想タイムを作ると1日の始まりがすっきりして心が穏やかになるので続けている、という意見は多く聞きます。夜は疲れて眠気が強い状態になると脳の活性化にはつながらないので、そういう意味でも朝はメリットが大きいと言えます。夜の寝つきを良くするのに必要なセロトニンというホルモンがありますが、セロトニンを午前中に分泌させるのが体内時計を正常に保つコツです。セロトニンはこの呼吸法で分泌が
増えるので、朝、呼吸法を行うと夜の寝つきが良くなります。

そうはいっても、朝は忙しいとか、朝は集中できないという意見も多く聞かれます。夜の方が続けやすいという方もいらっしゃいますし、別の考え方もありますので、自分にあった方法であればいつ行ってもいいと思います。

また、ここぞというときに呼吸法を行うのもおすすめです。例えば、大切なプレゼンの前、重大な決断を下す前、頭がごちゃごちゃして考えがまとまらないときなどです。繰り返し浮かんでくる事を、一旦脇に置いて頭をリセットするのです。呼吸という一つのターゲットに注意を絞ってみると頭がすっきりして冷静な気持ちになれます。

呼吸法で考え方のクセが変わって、自分を好きになる

人には考え方の癖があります。自分に厳しい言葉をかける癖があれば、自分が失敗すると「また失敗して、私ってダメな人間!」ともう一人の自分がののしります。結婚している人が世の中で認められていると思ったら、「結婚していない自分は価値が低い」と判断します。自分の価値観で判断や評価していることに気付き、一歩引いて「事実」だけを見ることができるたら、生きるのがずっとラクになります。良いとか悪いは自分の中で生まれるもので、そこにあるのは事実だけ。あなたがあなたを認めてあげることが、世間の評価よりもずっと重要なのです。

呼吸法で、雑念のある自分を評価したり判断したりしないで、ただ気付いて呼吸に戻ることを繰り返しているうちに、日常でも何かを評価したり判断したりする自分に気づく力が養われます。

自分にいちいちダメ出ししないで客観的に現実をみると、不安や怒りのドツボにハマらず冷静でいられる。むしろ、「そのままでも大丈夫!」と自分を応援したくなります。

呼吸に集中するだけで心や体に変化が生まれる

私たちが無意識に行っている呼吸は、自律呼吸といって横隔膜が上下する運動で成り立っています。一方、意識的に姿勢を整えて行う呼吸法では、腹筋をリズミカルに動かして横隔膜を動かして呼吸をします。この腹筋のリズミカルな動きは、脳のホルモン(セロトニンやオキシトシン)の分泌を増やす効果があります。これらのホルモンはどちらも幸せ感をたかめる効果をもたらします。さらに免疫力が上がる、痛みを感じにくくするなどの嬉しい効果が続きます。

先ほども述べたように、雑念に気づく時に脳の前頭葉の一部が活性化しますが、他にも記憶を司る海馬の神経密度が高まり、ネガティブ感情の暴走を促す扁桃体を小さくすることもわかっています。

呼吸に集中するための3つのポイント

呼吸瞑想を行う時に、雑念が起こるのは当然であるといいましたが、呼吸に集中する時間が長いと終わったあとのすっきりした感じがより多く得られるのも事実です。呼吸に長く集中するための方法をいくつかご紹介します。

1、意識と呼吸のイメージを作ってみる
意識が船で、呼吸に錨を下すイメージ、意識が蝶で、呼吸という花に止まっているイメージ、呼吸というクッションに宝石のような意識(心)を乗せているイメージなど。意識と呼吸のイメージが離れたらそっと戻してあげるのです。

2、呼吸に数字のラベルをつける
息を吐くたびに、ひとーつ、ふたーつ、と数えていき、十まできたら一に戻る

3、セルフナレーション
お腹が膨らんでいる、凹んでいる、ひんやりした空気が鼻の穴から入ってくる、など実況中継をする。

自分なりのスタイルが決まってくると、続けるのが楽しくなります。続けるコツは、初めから長い時間頑張らないこと。姿勢や細かいことにこだわらず、1日1回でも呼吸に意識を向けることができたら、自分を褒めてあげましょう!

株式会社マインドフルヘルス代表山下あきこ



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この記事のライター

医学博士、脳神経内科・内科医師。2016年に健康習慣を身につけるサービスを提供したいと考え、株式会社マインドフルヘルスを設立。

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